姫はワケあり黒猫様
「久しぶりだなぁ那琉」
『せーちゃんも相変わらずだね』
せーちゃんこと原田 誠也-Harada Seiya-。
まぁ、ちょっとした知り合い。
「俺は大人になっただろうが」
『全然~』
「てんめ…このやろ…」
『ぎぃやぁあぁ』
せーちゃんは私の頭をぐしゃぐしゃと撫で回した。
「……戻って来ると思ってなかった」
『うん……』
せーちゃんの悲し気な声色に罪悪感が身を震わせた。
『……戻って来たんだからゆるして?』
「…今回だけだからな」
せーちゃんは笑いながら私の髪に指を通して遊んでいた。