姫はワケあり黒猫様



学校に着いて、前は言えなかった分運転手さんにお礼を言って先に出た玲を追う。





『うー…』


「那琉ー、お前はなー」


『うるさいっ‼聞きたくねぇよっ‼』



ちょっと口を悪くして目の前で私の腰に巻きつく野郎に言う。



「那琉~」


『もー…うるさい、せーちゃんウザい』



「那琉、酷い酷い」



『洸は助けてよ』



「俺、縦社会に振り回されてるのよ」



「俺、教師。そいつ、理事長。」と洸はケラケラ笑いながら言って私の頭を撫でた。





『……離れろっ‼せーちゃん‼』



こいつ、原田誠也はぐすぐす言っていて気持ち悪いです★




「……理事長って、キャラすごいな」




頬を引き攣らせて笑う佳祐の肩に優は手を置いてケラケラと笑う。




遠矢は苦笑しながらパソコンを脇に挟んでいて、響は煙草を吸って……



紅羅は興味無さそうにチュッパを舐めていて、夕季はボーッと私に巻きつくせーちゃんを見ている。





……1人くらい助けようとしろよ?!



「……理事長、俺等授業あるんすけど」



「お?出るの?」



「……ウン」




うわぁ、絶対嘘だー。




しらけた目で玲を見つめると玲は視線で「お前が助けろって言ったんだろ」と訴えてきた。




確かにそうだけども。




仕方なしにせーちゃんの急所を蹴ると、「ぐふっ」と声を出した。


それを機に『バイバイ‼』と叫んで屋上へと走った。






「那琉うう‼」



洸の怒りの声が聞こえたけど…きこえません‼



はい‼走ろう‼





いつの間にか玲は隣を走っていて、前は紅羅と響、佳祐が走っていた。




夕季と遠矢は後ろをノロノロと走っていたけど。




『はぁっ……はぁ…』


屋上…遠っ‼遠いよ‼



「何?疲れたの?」



笑いながら言ってくるのは紅羅で、こくりと頷くとしょうがないなぁ、と言って…



『ぎにゃっ』


私を抱き上げた。





『うわぁぁぁぁぁああああ‼』





何か知らないけど……私の叫び声が廊下中に響いたとか…



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