姫はワケあり黒猫様




『……』




「那琉~?」


「……バカ女、いい加減わかりやすい不機嫌オーラを出すな」




チビ2人の紅羅、夕季にあやされる。




何かそれも嫌だが認めるのはもっと嫌で黙って柵にもたれかかっていた。





『…………』



「那琉、紅羅は良かれと思ってやったんだよ…許してやってくれない?




申し訳無さそうに笑う遠矢をチラリと見て目を逸らす。




小さな沈黙の間にブッと優が吹き出す。




吹くな、お前はいつもいつも。





ジトッと優を睨むと優は爆笑していた。




『……』



「女って面倒いな」



紅羅はボーッと空を眺めながらボソッと呟いた。




『面倒くて悪かったなっ‼』


「誰もそんなこと言ってないだろ?!」



『さっき思いっきり、自分で言ったじゃん‼』




あ、と呟く紅羅に少し呆れる。




最近知った紅羅の習性。




思ったことがすぐ口に出る。




うん、社会で困るからやめといたほうがいいと思うよ。





『紅羅、そのクセ、社会に出た時に困るからやめておきなさい』



「…どーせ、俺は出られないからいいよ」




紅羅の言葉に少し顔を上げると皆も難しい顔をしていた。





『どうして?』



「……、族、だから」



『何で?族じゃダメなの?』




「……………」





『族は、ステキだよ』






顔を歪める皆に眉を下げると、隣から手が伸びてきて、それに頭を撫でられた。




「……………那琉は、やっぱり違うな」



『何が?!』



「……………フッ、別に」





玲は笑いながら私の頭をぼさぼさにする。





ギャーギャー言ってその手から逃げ回ると皆は笑って私と玲を見ていた。





この時間は、いつまでも忘れられない。








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