姫はワケあり黒猫様
『およ、空き教室って案外大きい』
「だって俺等のだしー」
紅羅はさも当たり前の様な態度でフッと鼻で笑う。
殴りかかろうとしたら、優に笑顔のまま止められた。
着いた空き教室は教室より……余裕に大きい。
『うはぁ、ソファでか‼ふわ‼』
「うん、ハイハイ。」
棒読みで笑ってない笑みを浮かべる響の口元から煙草を抜き取ってそこにある灰皿に押しつけると、「あ~」と気のない声が聞こえた。
ドヤ顔で振り向くと、もう既に涼しい顔で新しい煙草に火をつけていた。
……新しいの吸うの早くない?!
てか、いつの間に?!
……ほっとこ。
玲の隣に座っていたが、寝転んで玲に足のかからないように注意しながら寝転ぶ。
『よし、ねる』
「寝るな。勉強は」
「那琉が言い出したよね?」
優はケラケラと笑いながら頬を引き攣らせている遠矢を見ている。
『別に、私頭いいから勉強の心配はないよ』
「じゃぁ、何でたんのんだんだよ」
夕季は、響に蹴られて目が覚めて不機嫌なのか目つきを悪くして私を睨む。
それを睨み返すと、倍にされて……
そんな事を続けてると目の前に手の平が出てきて、「夕季」と静かな玲の声がした。