姫はワケあり黒猫様




『この町随分都会になったじゃにゃいか』



「何かいろいろ工事しまくってたな」



せーちゃんは欠伸をしながらドアを見た。




『ドアなんかあるの?』



「別にねぇよ。



ただ、あいつが来るだけ」




あいつ?



首を傾げてせーちゃんを見るとばんっとドアから大きな音がした。





「誠也!



あのなぁ、那琉はもう日本には居ないの‼わかるか?!」



ずかずかと理事長室に入って来た久しぶりの顔に手をべたっと貼り付けた。




「てんめぇ誰だっ……って…え?」




これは浅賀 洸-Asaga Kou-だー。



『洸っ!



スーツなんか着ちゃってどうしてしまったんだっ‼』




「那琉?!


てか何でお前居るの?!は?ワケわかんねぇーー‼」




頭をガシガシと掻く洸にせーちゃんが呆れた様な視線を送る。




「落ち着けよ」




「落ち着けるかバカーーー‼」




洸はソファに座ってジタバタと足を動かした。






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