あなたが教えてくれた世界
──税が、払えない。
──取り立て人は明日もやって来るのかしら。
──もう三日も、子供たちに何も食べさせてあげられてない。
(……え…………?)
アルディスが、強く念じ始めたその時、頭の中に、たくさんの声が響いてきた。
──助けて。助けて。
──私、このまま餓死するのかな。
──お父さんは、戦争で、無事なの?
頭の中で、たくさんの声がする。
(やめて……!!)
完全にパニックに陥ったアルディスは、もう自分を膜の奥にしまおうと念じることもやめて、まるでもう聞きまいとするように耳を塞いでいた。
──こんなに重い税、払えるわけがない。
──今この時に増税なんて……皇王様は、わたしたちを殺す気か。
──今すぐ勝てないなら、戦争なんかもうやめて。領地なんていらない。王家は何をお考えなの?
“民衆が苦しんでいるのは、お前たちのせいだ。”
アルディスではない他の人のような、けれども確かにアルディスの声で、そんな言葉が身体中に響いた。
(……いやっ、やめて!!……)