あなたが教えてくれた世界
(アルディス……っ!)
オリビアが青い顔をしていると、騎士たちもさすがに護衛対象の少女がいないと気付いたらしく、緊迫した空気が流れる。
「いつからいなくなった?」
「さっき薪を持ってきた時はそこにいたぞ」
「何でいなくなったんだ?何者かに連れ去られたのか?」
「私たちに気付かれもせず気配を消して連れ去ったのか?そんな手練れに狙われているなんて聞いたこともないが」
──いや、あり得る事だわ。
ブレンダの言葉に、オリビアの辛うじて残った冷静な部分が反応する。
──彼らは知らないけれど、アルディスはイルシオン皇国第二皇女だもの……雇われた暗殺者に狙われることだって、十分考えられる。
「……オリビア?どうした?」
くるりと後ろに返り、走り出そうとした彼女にハリスが声をかける。
「探して来なきゃ……アルディス……早く……」
震える声でそう答え、再び大きく足を踏み出そうとしたオリビアの腕をつかみ、ハリスは言った。
「そうだね、ここで議論しているよりも、一刻も早く探しに行った方が良い。今ならまだ、遠くに行ってないはずだし」
一応司令を出す役割をもっているハリスの言葉に、三人の騎士の表情がかわる。
「クロース、君は東の方向を。コヴァート、北を頼む。セルベンダスは南を。僕は西を見てくる。オリビア、君はここへ残って待っていてくれ」
「どうして……!!」
ハリスの言葉にオリビアは目を見開いた。