あなたが教えてくれた世界
形は平面八角形をしていて、一辺に一つずつ扉がある。いまリリアスとグランディア公爵が入って来たのはその中で一番豪華なものだ。
ホールの回りは美しい庭園が囲っている。 これもかなり広く、本気で全部まわろうと思ったら半日はかかるだろう。
内装の豪華さは本宮ほどではない。天井から下がるシャンデリアもいたってシンプルだ。しかし、かえってそれが無駄のない洗練された雰囲気を引き出していた。
また、今日は晩餐会と言う事で、ホールの 八つの入り口と庭園の外縁部には近衛兵と見張りの騎士が警護している。
各使用人達も、厨房やらホールやらで仕事 に携わっていた。アンやオリビアもそこに いる。
(……来たわねアルディス……いや、もう リリアスね……)
ワインを給仕していたオリビアは、遠くに リリアスの姿をみとめてそう思った。
アルディス着替えを済ませたあと、オリビ アとアンはすぐにこちらに召集されたのだ 。
(いつも思うけど、その社交性、少しは日 常生活に使いなさいよ……)
高齢の紳士(多分かなり偉い人)に白ワイン をつぎながら、頭半分でそう思い悩むオリ ビア。
(……まあ……仕方ないか……)
彼女の苦労と過去を思い浮かべオリビアは 複雑な心境になる。
一方、鴨のローストの大皿を運ぶアンもま た、リリアスの姿を見つけた。
(あっ、アルディス様……。やはり、どこ にいても目を引きますね……)
彼女は探して見つけたと言うより、ああ綺 麗な人がいるなあと思って目を向けたら自分の仕える第二王女だったと言う形だ。
実際、リリアスはかなり目立っていた。回りには彼女より派手な衣装の令嬢も沢山いたのだが、彼女の髪と微笑みがどうしても観衆の目を引く。
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