あなたが教えてくれた世界
皇王は、彼女にお礼を言うように微笑んだ 。
(……お父様……)
まだ解せない点はあったが、受けることに して良かったとリリアスは思った。
廊下に出た侯爵とリリアスの二人はしばら く口をきかなかったが、階段の近くに来て 、侯爵のほうから喋りだした。
「安心したよ。姫が計画を受けてくれる事 になって」
「……あなたがそう仕掛けたのでしょう? 」
少し皮肉を込めて彼女は言ったが、すぐに ふっと表情をやわらげた。
「……でも、私、旅で沢山勉強してきます 。こうなったら精一杯利用しようと思いま すから。そして、ここへ帰ってくる時は成 長していたいです」
侯爵は、少し意外そうに目を細めた。
「てっきり怒っているのかと思っていたが ……。わかりました。期待している」
「そりゃあ、少しは怒っていますよ?」
リリアスは言い、それから表情を崩し小さ く笑った。
──異変が起きたのはその時だった。
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