あなたが教えてくれた世界



「……え?」


「だから護衛する令嬢。貴族の令嬢って言われてるけど、アルディスの事なのよ」


ハリスは怪訝そうに言う。


「……どういう事だ?第一、何で君がそんな事知ってるんだよ」


彼女は胸を張って言った。


「私もその任務に参加するからよ」


先ほどの説明の時に皇王から、万一の場合のため騎士には王女であると言うことを伏せて伝えられると聞いたのだ。


万一の場合とはつまり、騎士その人自身が王家に恨みをもっている場合ということだ。


いくら騎士とは言えど、所詮は一人の人間。任務よりも個人の感情を優先してしまう恐れもあるし、騎士その人が皇女を暗殺しようとするかもしれない。


だから、その事を話すのは信頼のおける人にのみと言われたのだが、オリビアにとって彼は信頼のおける人だったので良いと思う。彼はアルディスのことも知っていた。


そう判断した彼女は、それに関する事を包み隠さず彼に打ち明けた。


「……そう言う事だったのか」


一通り話を聞いた彼は言った。


「と言うことは、オリビアも参加するのかい?」


それまでのモヤモヤを置いておき、オリビアは答えた。


「もちろんよ。何のための姉だと思ってるのよ」


ハリスは安心したように息をついた。


「そうか……。なら、僕も決心出来た」


「決心?」


オリビアは聞き返した。


「実は、正直乗り気じゃなかったんだ。この任務。みんなが戦ってるのに、一人でプラニアスにいくなんて悪いじゃないか。でも……決まった」



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