あなたが教えてくれた世界
彼はこんな少年が同じ任務を受けると聞いて驚いていたが、その言葉を聞いてそれ以上あれこれ考えるのをやめる。
あのレオドルが選んで信頼しているのだから、二人ともその才のある者なのだろうと思った。
「さて、皆あまり時間がないので、こちらから手短に紹介させてもらう。まず、右端にいる彼──」
レオドルはそう言いながらハリスを指差した。
「本部皇国騎士隊、小隊長兼司令官を務めている、ハリス・ル・アルコンだ」
「アルコン……」
紹介を聞いた途端、茶髪の少年がそう呟く。
それを無視してハリスは言った。
「よろしく」
レオドルはさらに、真ん中の茶髪の少年を指差して続けた。
「真ん中にいるのがこの学校の学生、実習の成績トップのカルロ・ル・クロース」
「ま、よろしくお願いします」
ハリスは内心でああと合点した。鬼才の学生、クロースと噂は聞いていたのだ。
と言うことは、もう一人の黒髪の少年は……。
「そして彼が同じく学生で、実習の成績もクロースと同率一位のイグナス・コヴァートだ」
ハリスはやはり、と手を打った。
「……よろしく」
彼は愛想なく言った。三人の中で最も態度が固い。
二人とも、あのレオドルが認める程だから、やはり噂にたがわぬ実力をしているのだろう。
「……さて、紹介も済んだところだし、少し説明といくか。ほぼ、これが本番のメンバーだ」
「……ほぼ、とはどういう意味です?」
コヴァートが耳ざとく聞き返した。
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