あなたが教えてくれた世界



「知っていると思うが、護衛と言うものは基本四人一組で行う。一人足りないのだよ」


もちろん四人一組の事はここにいる全員が知っていた。


レオドルは大してそこには構わず、さらさらと話を進めていった。


「本番のメンバーはここにもう一人足した形だ。まだ決まってないのだがね。私も今、優秀な人材を至急で探しているところなのだが……。誰かいい人を知っていたりするか?」


「俺、知ってます。あ、噂ですけど」


ハリスが考え込むより早くそんな声があがった。見てみると、それは茶髪のカルロと言う少年である。


「ブリーズンの騎士隊に、なんかもうむちゃくちゃ強い奴がいるって聞きました」


「ほお。誰からかね?」


レオドルは吟味するように腕組みをしながら問う。


「俺の友人からです。あ、そいつもブリーズンの騎士なんすけど、誰が挑んでも絶対勝てない奴がいるって言ってました」


「ふむ……」


彼は考え込んだ。


「……わかった。ブリーズンの方に連絡してみる。情報、感謝するぞ」


ところが、そう言われるとカルロは決まり悪げな表情をした。


「えっ……良いんですか。聞いたのだと、そいつ……女だって話なんですけど……」


レオドルは驚いた顔をして、それから何故か笑い出す。


困惑する三人に、彼は言った。


「……わかった。構わんだろう。……ちょうどバランスも良くなることだし」





     *   *   *





「お母様、お調子はいかがですか」



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