あなたが教えてくれた世界
「…………?」
「握手」
「……ブレンダ・セルベンダスだ」
彼女もしぶしぶ手を出した。
彼はその手を握る。──と、その力が、強い。必要以上に強い。
「……さっきのお返し」
カルロはニヤリと笑った。
しかし彼女はその事よりも、彼にそんな力が残っていた事に驚いた。
(さっき、二、三ヶ月は使えなくなるようひねったはずだが……)
何となく悔しくなった彼女は、ばっと手を振りほどくと、またずんずんと歩き出した。
「あ、怒っちゃった?どこ行くの?」
ナンパかと思いながら、彼女は強固な態度で答える。
「皇宮に決まっているだろう」
「皇宮?どうして?」
ブレンダは振り向いて、カルロを思いっきりねめつけた。
「お前も任務についているのではなかったのか?今日顔合わせがあると言われていただろう」
「ああ、あれか」
間の抜けた返事をしつつ、彼はそのまま歩き続ける。
「……なぜ私についてくる?私はお前と歩きたくない」
「良いじゃん一緒に行こうよブレンダ」
「……お前に呼び捨てにされる筋合いはない」
「良いじゃん、ブレンダ」
「わざとやってるのか?」
二人は言い争いながらも、そのまま仲良く(?)歩き続けた。
* * *
出発の日の早朝。
皇宮のとある広間には八人の人間が集まっていた。
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