ほしくず
「奈々、今日バイトだろ?」
「うん…。」
門まで行くと、竜がすでにバイクに跨がっていて。
あたしは落ちそうになった涙を押し込んで、作り笑いを浮かべた。
「ん。ヘルメット。」
「ありがとう。」
いつものようにあたしにヘルメットを渡してくれる竜。
あたし専用のヘルメット。
けど、もしそのキスしてた人が被ってたら?
って考えたら、ヘルメットが汚らしく思えた。
バイクはいつものようにカフェに着き、また迎えに来ると言って竜は去っていった。
あたしの胸の痛みはまだ取れない。