ほしくず


「奈々、今日バイトだろ?」




「うん…。」




門まで行くと、竜がすでにバイクに跨がっていて。

あたしは落ちそうになった涙を押し込んで、作り笑いを浮かべた。





「ん。ヘルメット。」


「ありがとう。」




いつものようにあたしにヘルメットを渡してくれる竜。


あたし専用のヘルメット。
けど、もしそのキスしてた人が被ってたら?

って考えたら、ヘルメットが汚らしく思えた。






バイクはいつものようにカフェに着き、また迎えに来ると言って竜は去っていった。




あたしの胸の痛みはまだ取れない。









< 104 / 127 >

この作品をシェア

pagetop