ほしくず

「よし、そろそろ行くか。」



竜がそう呟いて、あたしにヘルメットを渡す。



「危ねぇから、しっかり被っとけ。」



危ないって……、一体何するんだよ！？




「待った。竜、何やってんだよ。お前は車だろ。」



？



「あ？今日くらい良いじゃねぇか。」



「駄目だ。奈々ちゃんを危険にさらすかもしれないし、顔がバレたらヤベェしな。」



な、なんの話をしてるんだい？




「ちっ。分かったよ。奈々、降りろ。車だ。」



「う、うん。」



竜にヘルメットを渡してバイクから降りる。

すると、竜が隣に並んで手をギュッと握ってくる。



「竜、バイクに乗りたかったら乗ってきて良いよ？あたしだけ車に乗るから。」



「お前と一緒じゃなきゃ、意味ねぇ。」




そうなんだ。
なんか、嬉しいな。



竜と一緒に乗ったのはあたしを攫った高級車。




「行け。」


竜が窓からそう指示を出すとバイクが一斉に走りだした。




「す、凄い……。」



窓にしがみついて見てるとグイッと後ろに引っ張られた。



「わっ……。」



肩を竜に抱き寄せられる。




「楽しめよ。」




耳許でそう囁かれ、ゾクッとした。