ほしくず

バレンタイン→その3


「ねぇ、竜。竜ってあたしに欲情する?」


我ながらすごく大胆な質問をしたと思う。
欲情する?なんて質問したら、あたしが欲求不満みたいだし、恥ずかしい。



「する。」

「なんで?」

「好きな女だから。」


好きな女だから、か。


「キタナくても?」


そんな質問をするあたしを見て竜は眉間を寄せる。
あからさまに不機嫌な顔になった。



「自分のこと、キタナイとか言うんじゃねぇ。お前は綺麗だ。目も肌も唇も全てが綺麗だ。」


ありがとう、竜。
でもね、あたしはやっぱりキタナイ。
アイツに付けられたこの傷痕は消えないし、何しろ体が痛みを、恐怖を覚えてる。


「二度と自分がキタねぇなんて言うな。」



そっと抱き寄せられて、強い力で抱き締められる。
背中に手を回せば、抱き締める力が強まる。



「うん。二度と言わない。」




口にはださないだけ。
自分がキタナイって思わなくなることは永遠に無いと思う。
だから、心の中だけで思っていよう。



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