bloody mary
どーすりゃって…
まずはメイクを落として着替えるべきだと思うよ、うん。
パットで膨らんだ胸。
スリットが入ったスカート。
見た目は完全に女。
なのにワインレッドの唇から漏れるのは、完全に野郎の声。
オカシィから。
てか、なんかキモいから。
「大丈夫って言ったンだろ?
なら、大丈夫だろ。」
鼻からティッシュを取り出しながら、マリーが落ち着いた様子で言った。
お、鼻血止まってる。
「うん…
でも変なカンジだったンだよ。
あのコらの豹変ぶりとか…」
「あんま気にすンな。
で? ドコに買い物行ったの?」
「駅前のデカいテナントビル。
え? マリー…」
マリーがクルリと踵を返して歩きだした。
「俺、漫喫行ってくるわ。」
リビングに置き去りにされたアンジェラの耳に、いつもより慌ただしく開閉される玄関ドアの音が響く。
(あー…
こりゃもう大丈夫だわ。)
アンジェラは髪を掻き上げながら、安堵の溜め息を吐いた。