bloody mary
Ⅳ
そろそろ繁華街を抜ける。
近頃ようやく覚えた夕焼け色に染まる帰り道を、菜々は広い背中を斜め前に見ながら歩いていた。
未だ繋がれた手。
菜々に合わせた、ゆっくりとした歩調。
嬉しい。
言わなきゃ。
だが全く別の感情が、すぐに心を埋め尽くす。
どうしよう。
聞かなきゃ。
あぁ、もう…
なんて気合いのいる1日なんだろう。
心折れそう…
『おまえも闘え』
あぅ…
が… 頑張りマスっっ!
一人コクコク頷いた菜々は、繋いだ手に力を込めて立ち止まった。
マリーが怪訝そうに振り返る。
「あ… ありありありありありありありがとごじゃりままま…」
「‥‥‥‥‥
おぅ。」
(笑われた?!)
大きな手で口元を覆って肩を震わせるマリーを見て、菜々は再びトマトになった。
だが笑われはしたものの、一応伝わってはいるようだ。
私、グッジョブ!
さぁもう1つ聞くのよ、菜々。
気合いを総動員して…