bloody mary

「菜々、ココで待ってろ、な?
手ェ放そうか、な?」


「イヤでずぅぅぅ ぅぅっ」


マリーが控えめながらも必死で手を引くが、それ以上の必死の力で菜々に握りしめられる。


「いやいやいやいや…
買って、すぐ戻るから。
な? な? 待ってろ。」


「イ──ヤ──あぅぁぅぁ…」




あぁ、もう…
お手上げ。

でも今、スゴくハッキリ自己主張してるよ? 菜々サン。


(まー… いっか…)


このままコンビニに入ったら、確実にヘンな目で見られるケド。

マリーは張りついて離れない菜々の小さな手を握り返した。


「…
じゃ、一緒に行く?」


「っっ!!
あ゛いっっっ!! ぅあぅ~!」


マリーが溜め息を吐きながら頭を掻いた。

困らせているのは、わかっている。
わかっていても、菜々の涙は止まらなかった。

痛みでも悲しみでもなく、マリーの言葉から、繋いだマリーの手から菜々に流れ込んだ、あたたかい涙だったから。

< 131 / 464 >

この作品をシェア

pagetop