bloody mary
「菜々、ココで待ってろ、な?
手ェ放そうか、な?」
「イヤでずぅぅぅ ぅぅっ」
マリーが控えめながらも必死で手を引くが、それ以上の必死の力で菜々に握りしめられる。
「いやいやいやいや…
買って、すぐ戻るから。
な? な? 待ってろ。」
「イ──ヤ──あぅぁぅぁ…」
…
あぁ、もう…
お手上げ。
でも今、スゴくハッキリ自己主張してるよ? 菜々サン。
(まー… いっか…)
このままコンビニに入ったら、確実にヘンな目で見られるケド。
マリーは張りついて離れない菜々の小さな手を握り返した。
「…
じゃ、一緒に行く?」
「っっ!!
あ゛いっっっ!! ぅあぅ~!」
マリーが溜め息を吐きながら頭を掻いた。
困らせているのは、わかっている。
わかっていても、菜々の涙は止まらなかった。
痛みでも悲しみでもなく、マリーの言葉から、繋いだマリーの手から菜々に流れ込んだ、あたたかい涙だったから。