bloody mary
菜々の目に映ったのは、アンジェラの労るようなあたたかい笑顔だった。
「ほんと、ごめんね。
ゆっくりでイイから。
菜々ちゃんのペースで…
…
ナンデ?」
アンジェラがギョっとして言葉を切る。
口をへの字に曲げて。
眉間に皺を寄せて。
大きな目でアンジェラを見つめたまま、菜々は涙をボロボロ零し始めた。
「ななな… ナンデ?
ゴメ… 俺が悪かった…」
「ぅぅ…
あん…で…らざ…ん ぅぇっ
あんんでぇぇらざぁぁぁん…」
あんでらざん?
アンデラ山?
ドコ?ソレ。
「ごめん。ほんっと、ごめん!
ぁわわ…どーしよ?! マリー…」
慌てふためくアンジェラが視線を上げると、マリーは土気色の顔で不気味に笑っていた。
「おまえもコンビニ行って来いや…」
笑うデスマスク、まじコワい。
恐怖に青ざめながら、泣き続ける菜々に途方に暮れながら、アンジェラはコトの経緯をなんとなく察した。
良かったね、菜々サン。
君は、愛されてる。