bloody mary
本当は行きたいのだ、学校に。
本当は触れ合ってみたいのだ、人と。
だが、ゆっくりでいい。
傷を癒して、乗り越えて、心から笑えるようになってからでも遅くはない。
菜々の人生は、始まったばかりなのだから。
「あんま無理すンなよ。
高校なんて行かなくても、大検受かりゃ大学進学は可能だ。
焦るコトねぇよ。」
行儀悪くテーブルに頬杖をついて言ったマリーを見て、アンジェラが目を丸くする。
「今は『高等学校卒業程度認定試験』だケドな。
なんでそんなん知ってンの?
ひょっとしてマリーって、勉強できた人なの?」
「え… そーなんデスカ?」
んなワケねーよ。
英語はなんとか話せるが、そりゃ勉強の成果じゃなくて環境の賜物だよ。
算数なんて、九九の七の段がビミョーなレベルだよ。
四文字熟語を問われたら、ドヤ顔で『焼肉定食』って言いきっちゃいマスYO!
菜々とアンジェラが、期待に目を輝かせてマリーの返事を待っている。
あぁ、もう…
勘弁しろよ…
「…
たまたま知ってたダケ。」