bloody mary

マリーは菜々の座るダイニングチェアの隣に行き、膝を着いて彼女を見上げた。
手を伸ばして、お祈りスタイルで組まれた震える指をそっと包み込む。


「おまえ7月7日生まれなの?」


「ハイ… ハイ…
本当にゴメンナサイィ…」


「だから、『菜々』?」


「ハイ…」


果たしてそれは、適当につけられたものだったのか。
それとも、愛を込めた最初のプレゼントだったのか。

今となってはわからない。

だが…


「イイ名前だよな。」


いつもとなんら変わりないマリーの低い声と手の温もりに、菜々の震えが治まっていく。

落ち着きを取り戻し、少し照れくさそうに俯いた菜々を見て、マリーは立ち上がった。


「よし、菜々。
ココを片付けろ。
七夕は中止だ。」


「ハイ。
…え? 中止?」


マリーの声に慌てて色紙をまとめようとした菜々が、不思議そうに首を傾げる。

そりゃそーだよね。

ココまで準備しといて、中止とかね。

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