bloody mary

鎖骨の窪みに影を落とす、華奢なチェーン。
プラチナで出来た、小さな花のトップ。

その花びらの一枚一枚には、7月の誕生石であるルビーがあしらわれていて…


「コっっ ココっココっコココ」


…ニワトリ?


「コココレは…」


菜々はギギギと首を鳴らしながら振り返り、マリーを見た。


「プレゼント。
貰えません、とか言うなよ?
いらねぇなら捨てろ。」


「っ?!
ぃぃイヤデスっっ!!キリッ」


「‥‥‥‥‥
ク… ククっ ハハハっ」


菜々を見下ろしたマリーは、堪えきれず吹き出した。

だって、その顔…

ドヤと、泣きと、かずおのコラボて。

片手で口元を覆って笑い続けるマリーを見て真っ赤になった菜々が、俯きながらそっと小さな手を伸ばした。

叱られない? 振り払われない?

ドキドキしながら、マリーのシャツの胸元を握りしめる。


「…ありがとうございます…」


振り払われることはなかった。
代わりに、菜々の髪が大きな手でクシャクシャに乱された。

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