bloody mary
Ⅰ
久し振りの夜の街。
菜々と暮らすようになってからは食事はなるべく三人一緒に摂り、夜遊びも控えていたのだが…
どーしても!
ど───しても!!
ヒト型ゴキブリが気になってしょーがない!
キモすぎる!
グロすぎる!
まじウケる!!
じょうじ じょうじょう‥‥‥
って、こんなネタ知ってるヤツいンのかよ。
そんなこんなで、今夜は夕飯を食べてから再び部屋を出たマリーは、いそいそと漫喫に向かっていた。
「ねぇ、オニーサン。」
ゴキブリ、ゴキブリ…
「ちょっと、オニーサン!」
ゴキブリ、ゴキブリ‥‥
「オニーサンってば!!」
ゴキブリ、ゴキ‥‥‥
「ん?」
背中を追ってくる声に、マリーは立ち止まった。
振り向けば、プチ般若。
腰に手を当てて頬を膨らませた少女が、きらびやかな人工の光に照らされて立っていた。