bloody mary

おー…
コワい、コワい。


「別に、貢いでるワケじゃナイから!!
私たちの夢を叶えるために、お金が必要なの!!」


「で?
身体売ってこいって、言われたか?」


「違うわよ!!
私が自分で」


「だが、処女なら高値がつくっておまえに吹き込んだのは、その男だ。」


うっとおしい蚊を追い払うように手を振って言葉を遮ったマリーを睨みつけ、少女は口を噤む。

どうやら図星だ。


「…
彼は純粋な人なの。
ミュージシャンになるって、ずっと夢を追ってる。
私が助けてあげなきゃ。
楽器だって、イイモノじゃなきゃ。
そして夢が叶ったら…
私たち…」


「おまえの夢じゃねーだろ。」


マリーの冷たい声を浴び、少女の目の中の炎が鎮まっていく。

彼女自身、本当はナニカがおかしいコトに気づいているのかも知れない。

だから『関係ナイ』なんて言っておきながら、饒舌に語るのかも知れない。

自分では認められないコトを、認めたくないコトを、誰かに口に出して欲しくて…

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