bloody mary

「血液は… 拭いたくらいじゃ…ルミノール…反応…
酸で… 洗い流して…」


マリーがティッシュを取り出していると、横から蚊の鳴くような声が聞こえた。

いやいや。

床に落ちた血を拭く気はねぇから。
このティッシュは、鼻に詰めるダケだから。

てか、ドチラサマ?

マリーが声のしたほうへ視線を向ける。

そこには、両手をパイプベッドに拘束された、血塗れの『女』が転がっていた。

いや、いるのは最初から知っていた。

でも…
生きていたのか…


「や、ココ燃やすから。
ルミノールとか問題ねぇし。」


丸めたティッシュを鼻に詰めながら、マリーは世間話でもするかのような軽い口調で返事をした。
だが、頭の中では物騒な思案を巡らせている。

見たよな?
俺のコト。

こんな変態に取っ捕まった上、俺を見たとか…

運が悪かったネ。


「そっか…
コレ… ガソリンの臭いか…
アンタ…
『ブラッディマリー』…?」


マリーの思惑を知ってか知らずか、『女』は自らの運命を決定づける一言を口にした。

< 221 / 464 >

この作品をシェア

pagetop