bloody mary
「血液は… 拭いたくらいじゃ…ルミノール…反応…
酸で… 洗い流して…」
マリーがティッシュを取り出していると、横から蚊の鳴くような声が聞こえた。
いやいや。
床に落ちた血を拭く気はねぇから。
このティッシュは、鼻に詰めるダケだから。
てか、ドチラサマ?
マリーが声のしたほうへ視線を向ける。
そこには、両手をパイプベッドに拘束された、血塗れの『女』が転がっていた。
いや、いるのは最初から知っていた。
でも…
生きていたのか…
「や、ココ燃やすから。
ルミノールとか問題ねぇし。」
丸めたティッシュを鼻に詰めながら、マリーは世間話でもするかのような軽い口調で返事をした。
だが、頭の中では物騒な思案を巡らせている。
見たよな?
俺のコト。
こんな変態に取っ捕まった上、俺を見たとか…
運が悪かったネ。
「そっか…
コレ… ガソリンの臭いか…
アンタ…
『ブラッディマリー』…?」
マリーの思惑を知ってか知らずか、『女』は自らの運命を決定づける一言を口にした。