bloody mary
『女』はマリーに反論しようとして、ふと気がついた。
手が動く…
マリーが撃ったのは、『女』をベッドに縛りつけていた手錠の鎖だった。
「動けねェの?」
「…へ?
あ… うん。足が…」
上の空で返事をしながら、『女』は信じられない思いで噂の死神を見つめた。
血も涙もない殺し屋『ブラッディマリー』は、ターゲットはもちろん、悲運な目撃者も全員始末すると聞いていた。
それは、老若男女問わず。
冷酷非情に。
確かについさっきまで、そーゆー流れだったヨネ?
殺す気まんまんだったヨネ?
なのに、その流れが変わった。
コレは…
生き残れるルートなの?
そんなん存在すンの?
しょーがねーな、なんて溜め息混じりに呟いて手を伸ばしてくる無慈悲な殺し屋を威嚇するように、『女』が鋭く問う。
「な… なんで… 殺さない?!」
「…情報提供料ってトコか?
死にたきゃ置いてくケド。
バーベキューと頭に風穴、ドッチがイイ?」
うん。
ドッチもヤダ。
なんだろネ?
その緊張感の無さ。