bloody mary
(コレ…
男じゃね???)
えーっと…
フルボッコ状態だから造形の確認はできなかったケド、剥げた口紅が僅かに残ってたヨネ?
そのスーツどー見てもレディスだし、片方だけ履いてるソレ、パンプスだヨネ?
でも、この体つきは…
「…
おまえ、名前は?」
マリーは肩に乗った女(偽)に、恐る恐る訊ねた。
暫しの沈黙の後、女(偽)も恐る恐る答える。
「‥‥‥‥‥‥アンジェラ?」
自分の名前に疑問符つけンな。
うん。
イイよ。
女と言い張りやがるなら、そーゆーコトにしておこう。
人それぞれ、事情はあるし。
趣味だとしたらちょっとヒくケド、コッチに害が及ばなければ問題はない。
「アンタは…
なんて呼べば… イイ?」
「マリー。」
名を問い返すアンジェラに、マリーが答える。
コッチだって本名じゃない。
お互い様ってヤツだ。
マリーはコートの内ポケットからタバコを取り出した。