bloody mary
マリーはごく稀に、人の命や心を救っていた。
なんの見返りもなく。
アンジェラが知るだけで、それは十数人に上る。
彼には殺しを楽しむような残虐性はない。
ただ、『殺した』という結果を残すだけ。
まるで呼吸をするように。
自然に。
そして時折、気の向くままに人を救う。
まるで呼吸をするように。
自然に。
彼の中から生み出される、その相反する行動と感情は、きっと常人には理解できない。
性格破綻者?
狂人?
本物の、気紛れな死神なんじゃないかと思ってしまうこともある。
なのに日常生活での彼は、驚くほど人間的だ。
漫画の展開に一喜一憂したり、嫌いな食べ物が食卓に上がるとカワイソーな顔をしたり、まるで子供のような一面も持ち合わせている。
最近では菜々に振り回されて、可愛く見えることすらある。
クール&スマート&真性バカ
どれが、本物の彼なんだろう?
どれも、本物の彼なんだろう。
人間らしさと非人間らしさを併せ持つ、不思議な男。
それが『ブラッディマリー』。
その謎めいた魅力に、どうしようもなく惹きつけられる。
BL要素は皆無だが。