bloody mary
わかっているのに、一瞬たりとも目を逸らすことができない。
少し伏せられた長い睫毛。
唇に軽く押し当てられた親指。
その唇を割って微かに見える、濡れた舌‥‥‥
彼にとっては、なんてことない自然な動作なんだろう。
なのにこんなに魅せられる。
こんなに心を奪われる。
本当に、本当に、ズルい。
魅力ってヤツは、内面から生み出されるモノなンだ。
小手先のメイクや料理やパットで女子力を補おうとしていたなんて、子供扱いされてもしょうがない…
「え… ちょ… 菜々?」
菜々の熱に浮かされたような視線に気づいたマリーが、目を丸くして声を上げた。
口を開けたまま固まるマリーに 菜々は微笑む。
「私… 出直してきます。」
「へ…?
おぅ‥‥‥???」
パット作戦は失敗に終わった。
てか、この企画そのものが間違っていた。
でも、まだまだ!
これからなンだから!
諦めンな!私!!
いつかきっと、彼に認められるくらい素敵な女のコに…
…前途多難デスケドネ?!