bloody mary
そう、マリーの愛車は1965年VWビートル。
トラブルも多いし、メンテも手間がかかる。
でも、ずっと欲しかったンだよね。
向こうじゃ一番メジャーな車、即ちフォード一択だったし。
殺し屋が目立っちゃマズいしネ。
仕事中にエンストなんて、もっとマズいしネ。
「古い言うな。
菜々、ヴィンテージっつーの。
おまえも乗ったコトあンぞ。」
望み以上のケーキを手にして見るからにご機嫌になったマリーは、ダイニングチェアに座りながら菜々に微笑みかけた。
その彼にフォークを手渡そうとしていた菜々が目を丸くする。
「え? ほんとに?
私、いつの間に?」
「ココに来た日。」
…
ソレは… アレか?
意識がなかった菜々を、車に積んで帰ったってコトか?
「…
そりゃ菜々ちゃんが覚えてるワケねーよ。」
アンジェラが首を横に振りながら、溜め息混じりに言った。
うん。
激しく同意。