bloody mary

マリーは女性経験はそれなりに豊富だ。

だがそれは『好き』をスっ飛ばして、即肉欲に直結するような経験ばかりだった気がする。

殺し屋『ブラッディマリー』になる前は日本にも海の向こうにも恋人と呼べる存在は多数いたが、突き詰めて考えると、カラダの相性がイイというだけの関係だった。

快楽だけを求める者同士なら、『好き』が伴わなくとも夜毎カラダを重ねられる。

そして、カラダに飽きたらサヨーナラ。

また別の『恋人』という名のカラダを探して…

って、ナニコレ?!
ただれたオトナの世界すぎる?!

まぁなんにせよダレかサンが見抜いたように、マリーは『恋愛初心者』とも言えるワケだ。

どーすればイイのかもわからず。
自分のキモチを落ち着いて確認する暇もなく。

16の小娘に翻弄されっぱなし…



情けなさすぎてウケる。

てか、泣ける。

そして今日もまた‥‥‥


「どうぞ。」


夕飯後、少し緊張した面持ちの菜々が、ダイニングテーブルについたマリーの前にケーキの乗った皿を置いた。



えーっと…

オレンジが添えられた…

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