bloody mary

「…チョコケーキ?」


マリーは少し眉根を寄せて菜々を見上げた。

チョコか…

マリーは甘すぎるモノは苦手。

菜々はもうその辺りを熟知しているので、今までチョコレート系のお菓子を作ったコトはなかったのだが…

今日に限ってナゼナンダ?

不満そうに唇を尖らせるマリーと、表情を強張らせて無言を貫く菜々。

見つめあって数十秒…

うん。
わかった。

食べるから。

そんな目で見ンな。

マリーは三角にカットされたケーキをほんの一欠片だけフォークで切り取り、恐る恐る口に入れた。

ん…?

おっと?

チョコなンだケド、甘味よりカカオの風味が強い。
口の中で溶けた時には、ブランデーの香りも広がる。

コレは…


「…
旨ェな。」


目を丸くしたマリーがポツリと言った。

途端に顔を輝かせた菜々が、ヨシっと小さく呟きながらガッツポーズ。

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