bloody mary

白い手を赤く染まった頬に当てて。
潤んだ瞳を長い睫毛で少し隠して。
嬉しそうに唇を綻ばせる菜々から目を逸らすように、マリーは深く頭を下げた。


「アリガトウ・ゴザイマス。」


ロボか。


「え? え?
あの… 私のほうこそ…
褒めてもらって…」


「イエイエ。
コチラ・コソ。」


「あの… マリーさん??
どうして片言…???」


挙動不審に陥ったマリー。
不思議そうに首を傾げる菜々。

なんだろね?コレ。

生まれたての小鹿でも、もっと色々スムーズだろ。

サっサと席についてケーキを頬張っていたアンジェラは、噛み合わない二人を横目で見ながら笑いを堪えていた。


「マリーは放っといて、菜々ちゃんも食べなよ。
このガトーショコラ、ほんとオイシーね。」


「あ…
ハイ。
ありがとうございます。」


未だつむじを見せたまま動かないマリーに気がかりそうな視線を送りながらも、菜々はアンジェラの言葉に従った。

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