bloody mary

なんのことはない。
俺は鼻血を噴いたのだ。

初夏を思わせる陽気に、のぼせたのかもしれない。
少々興奮ぎみだったせいかもしれない。

保健室に行き、少し休んで着替えればそれで済む…

はずだったのだ が!

俺にあだ名がついた。
それも、全校公認の。

俺は、ブラッディマリーになった。

『一年生で、ソノ発想はなかなかねぇだろ』

そう思ったヤツ。

まったくもって同感だ。

発祥元は上級生。
もしくは親。
もしくは教師。
に、違いない。

いずれにせよ、ヒドくね?

いたいけな一年生に、都市伝説になっちゃうようなあだ名つけるとか、あり得なくね?

イジメか、コノヤロー。

俺は荒れた。

上級生だろうが他校生だろうが体格差があろうがなかろうが、果敢に挑んでいくような近所でも有名な悪ガキになった。

妹、即ち両親にとって待望の娘が生まれて多少放置子ぎみになっていたことも、要因の一つかもしれない。

かくして俺は、鼻血とケンカに塗れた六年間を送ることになった。

だが、だが、中学生になれば…

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