bloody mary
アンジェラに逃げられた女は、彼にするはずだったコトを警備員にしたのだ。
殺し、自殺に偽装し、犯人に仕立て上げたのだ。
その警備員もきっと、女との恋に溺れ、ナニも知らずに女の掌で踊った挙げ句、ナニも知らないまま殺されたに違いない。
アンジェラと同じように。
全く…
男ってヤツはバカばっかりだ…
睫毛を伏せたアンジェラは、深い溜め息を吐いた。
「でもね?
不安材料は消しておかなきゃ。
安藤くんが警察に駆け込んで、今更混ぜっ返されても困るの。
主人が死んで一番得をしたのは やっぱり私だもの、ね。」
あそ。
その流れからいうと、結局ドッチも殺しちまう気だったンだ?
交尾後、オスを食い殺しちゃう後家蜘蛛か。
「バカな人ね。
どうしてソコまでわかってて、この前コンビニで会った時に逃げ出さなかったの?」
唇に嘲笑を浮かべた蜘蛛女が、アンジェラの顔にタバコの煙を吹きかける。
もう…
バカって言わないで。
さっき、イタいほど自覚したから。
アンジェラは咳き込みながら顔を背けた。
「ケホっ
信じてみたくなったの!」