bloody mary

アンジェラに逃げられた女は、彼にするはずだったコトを警備員にしたのだ。

殺し、自殺に偽装し、犯人に仕立て上げたのだ。

その警備員もきっと、女との恋に溺れ、ナニも知らずに女の掌で踊った挙げ句、ナニも知らないまま殺されたに違いない。

アンジェラと同じように。

全く…
男ってヤツはバカばっかりだ…

睫毛を伏せたアンジェラは、深い溜め息を吐いた。


「でもね?
不安材料は消しておかなきゃ。
安藤くんが警察に駆け込んで、今更混ぜっ返されても困るの。
主人が死んで一番得をしたのは やっぱり私だもの、ね。」


あそ。

その流れからいうと、結局ドッチも殺しちまう気だったンだ?

交尾後、オスを食い殺しちゃう後家蜘蛛か。


「バカな人ね。
どうしてソコまでわかってて、この前コンビニで会った時に逃げ出さなかったの?」


唇に嘲笑を浮かべた蜘蛛女が、アンジェラの顔にタバコの煙を吹きかける。

もう…
バカって言わないで。

さっき、イタいほど自覚したから。

アンジェラは咳き込みながら顔を背けた。


「ケホっ
信じてみたくなったの!」

< 331 / 464 >

この作品をシェア

pagetop