bloody mary

女は少し考え込んで…
不愉快そうに眉を顰めて立ち上がった。


「安藤くんの言う通り、私には理解できそうにないわね。
でも…
新しい女がいるコトだけはわかったわ。」


ハイ、わかってナイ。

『大切なモノ』の解釈を間違えてマス。


「やっぱり可愛くないわ。
残念ね。
嘘でも私に媚びておけば、死ぬまでの間、うんと優しくしてあげたのに。」


ローテーブルの上の拳銃を手に取って弄びながら、女はアンジェラに微笑みかける。


「昔みたいに、ね。」


アンジェラも、いつもと変わらない柔らかな微笑みを女に向ける。


「もう御免だ。」


「…
ホントに可愛くない…」


拳銃に視線を落として、女が小さく呟いた。

彼女は気に入らなかった。
アンジェラの態度の全てが、気に入らなかった。

銃口を彼に向けてみる。

さぁ…

跪いて命乞いしてごらん?
泣いて助けを乞うてごらん?

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