bloody mary

アンジェラが口を開く。


「ソレ、ハンマー起きてねェンじゃね?」


ナンデヤネン。

泣けや。ビビれや。
潔すぎンだろ。

じゃあ、コレならどう?


「今のカノジョは可哀想ね。
ナニも知らないまま、安藤くんを私に奪われて。
泣いちゃうかしら?」


ほら…

泣いても構わないって。
本当はアナタだけだって。

だから殺されてもいいンだって 私への愛を語ってごらん?

アンジェラが口を開く。


「カノジョ、て…
や、まぁいいケド。
泣くようなタマじゃねぇし。
てか気にも留めねェカモ。
基本、冷てェからなー…」


ナンダソリャ。

泣けや、女も。
冷たいってか、鬼じゃねーか。

マリーはねぇな、使い捨てって言われてっし、菜々ちゃんは泣いてくれっカナ…

ブツブツ呟きながら難しい顔で首を捻るアンジェラを見下ろして、女は眉間に皺を寄せた。

今まで女は、その美貌と肢体で数多の男たちを操ってきた。
男の単純すぎる思考も欲望も、全て女の掌の上だった。

涙を流せば、優しく微笑めば、裏切りさえも許された。

目の前のこの男だって、一度は屈服したはずなのに…

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