bloody mary

今は操ることができないどころか、その考えすら読めない。

こんなことは初めてだ。

堪らなく不快だ。

険しい表情で拳銃を突きつけたままの女を見上げて、アンジェラがまた口を開く。


「ねぇ。
ソレ、ハンマー起こさなきゃ撃てねェよ?」


ナ ン デ ヤ ネ ─── ン!!!
もうエエわ!!!

あ。
コント終わっちゃった。


「もういいわ!」


コントの続きじゃアリマセン。

荒々しく叫んだ女は、銃の先でアンジェラの顎をクイっと上げた。


「コレ一発で楽になれるなんて 思わないことね!
安藤くんにも『自殺』してもらうわ!」


そう、この男はすぐに死ぬ。

思い通りにならなくても、心を掴めなくても、命は確実に握っているのだ。

女は余裕を取り戻し、澄みきったハニーブラウンの瞳を睨みつけた。


「樹海で首吊りなんて、素敵でしょう?
発見されて身元がわかる頃には もう誰も事件との関わりなんて覚えてな」


ガァン‥‥‥

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