bloody mary
Ⅷ
狭い階段をマリーは上る。
左手に銃、右手に菜々の手を握って。
気分は子連れ狼だ。
あのまま事務所に待たせておいても良かった。
みんな星になったし☆
今からアンジェラと一緒にいる女も、星になる予定だし☆
でも…
連れてきちゃった。
だって危なっかしいンだもん。
一人にすると、出られないハズの部屋から脱出しちゃったり、右手と右足同時に出して『塾帰りの高校生』のつもりになってたりするンだもん。
目の届くトコロにいてくれたほうが、安心できる。
てか、目が離せない。
って、コレ…
(俺って…
かなりの過保護かも…)
アンジェラがいるという部屋の閉じられたドアの前で、マリーは下唇を突き出した情けない顔で菜々を振り返った。
マリーの視線に気づいた菜々はナニを勘違いしたのか、繋いだ手を放して素早く壁に背中をつける。
そしてキュっと口元を引き締めてマリーを見上げ、一度大きく頷いた。
…
え?
ソレ、突入合図?
本気でボスか。
マリーは笑いを噛み殺しながら やはりフツーに扉を開けた。