bloody mary
マリーはガランとした部屋の真ん中にスーツケースを開け、乱雑に荷物を詰めていた。
詰めてるっつーか…
放り込んでるカンジ?
性格出るヨナ、こーゆーの。
「ドッカ行くの?」
部屋に入り、ベッドの上に洗濯物を置いたアンジェラは、苦笑しながらマリーに訊ねた。
「おぅ。
ちょっと向こう行って、アパートの様子とか見てくるわ。
一週間くらいか?」
「あそ。
お土産ヨロシクー。」
「でさ、一回コッチ帰って色々片付けてから、俺、向こうに戻るから。
休暇は終了だ。」
「へ?」
アンジェラのハニーブラウンの目が、再び丸くなった。
休暇は終了って…
殺し屋業再開ってコト?
向こうに戻るって…
日本を出るってコト?
「いやいや、ちょっと待て。」
アンジェラは焦った。
急ぎすぎじゃねーデスカ?
用意が必要じゃん。
心の準備も必要じゃん。
主に、菜々の。