bloody mary
言いたいコトを言い終わる前に大きな手が伸びてきて、アンジェラの口が塞がれた。
「言うな。
その辺を認めちまうと『銃撃戦で死亡』っつーバッドエンドが俺を待ってンだよ。」
ナンジャ、ソリャ?
てか、ソレ言ってる時点で認めてンじゃね?
バッドエンド確定じゃね?
アンジェラはマリーの襟首を掴んでいた手を跳ね上げ、口を覆う彼の手を払いのけた。
「意味わかんねーし!
てか、あり得ねーし!!
菜々ちゃんが可哀想だろが!
俺も…
俺だって、まだアンタの弱みを握ってねーンだからな!!」
「俺の弱み?」
マリーはきょとんとした。
切れ長の鋭い目が丸くなり、やけに可愛く見える。
だがすぐにマリーはその幼い表情を消し、いつもの皮肉そうな笑みを浮かべて言った。
「知りてぇなら教えてやる。
おまえらだよ。」
「へ?」
今度はアンジェラがきょとんと目を瞬かせた。
「『おまえら』?」
「そう。おまえと菜々。
おまえら二人が俺の弱みだ。
だから俺は、おまえらの『家族』にゃなれねェ。」