bloody mary
アンジェラは顔を上げ、マリーの端正な横顔をマジマジと見つめた。
確かに、ヤバい。
盲従的且つ、盲信的。
でも、ソレって…
「ソレって、菜々ちゃんがアンタのコト好きだからじゃねーの?」
「だとしても、ダメだろ。」
頬を掻きながらポツリと呟くアンジェラを、マリーは少し困った顔で一瞥した。
だが、すぐに扉に向き直る。
ソコに誰かがいるかのように。
「今まで置かれてきた環境のせいで、菜々がそーゆー人の愛し方をするとして。
相手が公務員なら、従順で可愛い奥サンになるンだろう。
だが…
相手が殺し屋なら?」
殺し屋なら。
菜々は‥‥‥
「俺は、その白い手を血に染めたおまえを見たくない。
おまえはシャンプーのままでいればいい。」
マリーが誰に語りかけているのか気づいたアンジェラは、彼の視線を追って扉に目を向けた。
「いるンだろ?
入れ。」
静かなマリーの声。
静かに開く扉…