bloody mary
まじか。
まじで、まじか。
怒ってるとか寂しがってるとかをスっ飛ばして、実力行使できやがりマシタカ───?!
なんつー危ねェコト考えちゃってンの?!
素直で可愛い菜々ちゃんは、ドコ行っちゃったの?!
育て方を間違えちまったのかぁぁぁぁぁ??!!
いやいやいやいや…
落ち着け、俺。
可愛らしい反抗期だろが。
画鋲とか、小学生の悪戯レベルだろが。
感電は、明らかにヤリすぎデスケドネ?!
大丈夫、大丈夫。
これくらいの反抗期なら、軽く乗り切れる。
取っ捕まえて、お説教して、菜々の言い分もちゃんと聞いてやって、話し合って、仲直り。
コレだ。
コレが正しい子育てだ。
リビングドアの開閉音が聞こえる。
ほら、まだまだガキだ。
袋小路に逃げ込んじゃってさ。
気を取り直したマリーが、不敵な笑みを浮かべながら悠然とリビングに向かう。
隠れたって、無駄。
引きずり出して、オトーサンがキツーいお灸を…
「菜々ぁ!!」
殊更に怒りを装った声を張り上げ、マリーは獲物を狙うハンターのような目でリビングドアを開け放った。