bloody mary
「ねぇねぇ、ナニしてンの?」
「君、カワイイよねー。
俺らとカラオケでもどぉ?」
「え… あの… 私…
ひ、人を、待ってるンデス…」
(‥‥‥‥‥またか。)
大きな手にクレープを二つ携えて公園に戻ってきたマリーは、最近よく見る光景を、今日も目にして溜め息を吐いた。
ちょっと目ェ離すとコレだよ。
菜々はヤローに声を掛けられやすい。
確かに菜々は、そこらのアイドルなんかよりも可愛い。
だが、ソレだけではナイ。
どうやら彼女は、男に潜む欲望を駆り立てるタイプのようだ。
最初はぶっちゃけ、気が気じゃなかった。
てか、殺意が噴き出した。
この世からヤロー共を殲滅しようと、本気で思った。
しかし、今は違う。
少しは落ち着いて様子を見守っていられる。
別の意味で心臓に悪いケドネ?!
なぜなら…
「え? ダレを? カレシ?
ひょっとしてデート中なの?」
「酷ぇカレシじゃね?
カノジョ放っとくとか。
俺なら、君みたいなコを一人にしないケドなぁ。」
チャラ男くんのカレシ批判を聞いて、困った顔で俯いていた菜々が勢いよく顔を上げた。