bloody mary

「ち… 違いマス!
放っとかれてないンデス!
酷くなんて、ないンデスっ!」


小さな両手を胸の前で揉み絞った菜々が、真剣な表情でチャラ男くんたちに訴えた。

そして若干引きぎみの彼らに、薄く頬を染めながら世にも可憐な笑顔を見せる。

夢見るように。
蕩けるように。

どこまでも、甘く。


「あの人は…
マリーさんは、優しくて、あったかくて…
誰よりも素敵な人なンデス…」


「「…」」


(…/////)


チャラ男くんたちは、毒牙を抜かれて立ち尽くした。

赤くなった顔を空いている手で覆ったマリーも、少し離れた場所で立ち尽くした。

そう。

菜々のひたむきさが、彼女に寄ってくるヤロー共の心を折るンだよね。

そして、ますますマリーを骨抜きにするンだよね。

今も謙虚で素直でいちいち可愛い菜々だが、心を奪われた男にとっては、とんでもない魔性なのかも知れない。

ずっとおあずけを食らったままのマリーには、尚更だ。

日々蓄積される行き場のない熱がますます煽られ、もう気が狂いそう。

拷問か、コノヤロー。

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