bloody mary

喉が焼けるほど熱い溜め息を吐き出したマリーが彼らのいるベンチに歩み寄ると、それに気づいた菜々の瞳が輝く。


「マリーさん!」




ハイ、キタコレ。
エンジェル・スマイル。

今この瞬間を切り取って、彼女の笑顔を絵画にするなら、題名は『至福』でファイナルアンサーだ。


「…なんか… 悪ィな。」


クレープを菜々に手渡したマリーが、唇に苦笑いを浮かべながらチャラ男くんたちに囁いた。


「イエ… コチラコソ…」


「ナンツーカ… オ幸セニ…」


マリーを見る彼らの顔は、もはや賢者。

なんか… ほんと悪ィな。

チャラ男改め賢者くんたちがフラフラした足取りで去っていくのを見送って、マリーは菜々の隣に腰を下ろした。


(全く… コレで自覚がねぇンだから、始末に負えねェ…)


いただきまーす、とクレープに齧りつく幸せそうな菜々を横目で見て、マリーは困ったように眉尻を下げた。

でも、どうしてもサングラスの奥の目元が和んでしまう。

そんな菜々も、どんな菜々も、可愛く思えるンだから、始末に負えないのはマリーも同じだ。

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