bloody mary
「あ… 鼻血…」
表情を変えた菜々が慌ててポケットを探り、マリーにティッシュを差し出した。
あぁ、鼻血だ。
コレは、コーフンの鼻血だ。
原因はおまえだ─────!!
菜々から受け取ったティッシュを鼻に詰めたマリーは、食べかけのクレープをゴミ箱にシュートした。
そして、驚く菜々の背中と膝の裏に腕を差し入れ、ヒョイと抱き上げる。
え?え?マママリーさ…みんなが見て…わわ私…クレープが…おろおろ降ろしてててて‥‥‥
可愛い制止の訴えが聞こえるが もう無視、無視。
だってコイツ、キスしたよ?
ケモノ解放しちゃいマシタYO?!
あんな可愛いコトされちゃ、もう抑えられるワケねーじゃん。
幸い、アンジェラは不在だ。
マリーほど頻繁ではないが、彼も度々ハンバーガー大国に渡っているのだ。
理由は、新しいねぐら探し。
以前と同様マリーの仕事を考慮した条件に加え、治安が良く利便性の高い環境をリサーチして回っている。
菜々も連れてくワケだしね。
『いっそ、郊外に一軒家を新築しちゃうか?』
なんて言いながら頭を悩ませるアンジェラは、なんだか楽しそう。
外観や内装などは、結局彼の好みで落ち着くンだろう。
ベルサイユ宮殿風とかだと、全力で拒否させてもらうケド。