bloody mary
自転車って、もどかしい。
頑張っても頑張っても、逸る心に見合うスピードが出ない。
背中に感じる菜々のぬくもりが 『無謀運転すンなよ』
って、ブレーキかけるしさ。
その上、鼻血も止まらない。
身体、動かしすぎ?
それとも、コーフンしすぎか?
それでも、焦れったい帰り道もそろそろ終点が見えてきた。
コンビニ前を通過して、あの角を曲がればマンションに…
あの角を曲がれば…
…
あの角に見えるアレは、幻覚デスカ?
(…イヤガラセ?)
マリーは思い切り眉を顰め、口をへの字にひん曲げた。
ナゼカ電信柱にピッタリ寄り添う、スーツケースを引いたスラリとした男の後ろ姿…
うん、アンジェラだよねー。
ナニ?このタイミング。
運命のイヤガラセとしか思えねェ。
どーする?
このままだと、フツーに合流して、フツーに家に入って、フツーにメシ食って…
通常運転になっちゃうよ?
いや、諦めンな。
運命なんて捩じ伏せろ。
未来をその手で掴み取れ!
(よし、このままアンジーを撥ね飛ばそう。
その隙にマンションに入って、サクっとナニを始めちまえ…)