bloody mary
「ソイツは知らね。
てか、なんなの?」
マリーは不思議そうに首を捻った。
そんな遠い昔の話と、今、三人揃って電柱の陰に鈴生りになってるコトとの関連性はナンダ?
教えてー、アンジェラ先生。
「俺さ、向こうでアンタに会う前、クラブで働いてたンだよ。
そン時知り合った情報屋がいてさ。
なんかオモシロイ情報でもあるカナーって、連絡してみたの。
あ、電話でね。
俺もう『女』じゃねーし。」
ミラーから目を離したアンジェラが、マリーに向き直って言った。
いやいや…
ヤローが女口調で受話器持ってる図ってのも、なかなかオモシロイよ?
マリーは笑いを噛み殺し、顎をクイっと反らしてアンジェラに先を促した。
「で、気になるコトを聞いちゃってさー…」
アンジェラは一度言葉を切り、難しい顔で頬を掻いた。
「例の跡取りには恋人がいたらしいのね。
復讐のために、アンタの周辺をずっと嗅ぎ回ってたンだって。
随分前から、一人で地道に。
その執念が実って、とうとうアンタの尻尾を掴んだらしいって話なンだケド…」
「まじか。
ソイツが『レッドローザ』?」
マリーは目を丸くした。